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共有名義人が行方不明になった時の相続手続きは?登記の進め方や利用できる制度も解説

不動産情報・知識・アドバイス

松本 親幸

筆者 松本 親幸

不動産キャリア27年

㈱フォローウィンドコーポレーションの
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不動産を複数人で所有している場合、もしも共有名義人の一人が行方不明となったら、相続の手続きはどうなるのでしょうか。このような事例は家族や親族にとって予期しづらく、突然の出来事に戸惑ってしまう方も多いです。本記事では「共有名義人が行方不明」といった特有の状況で、相続登記が進められるのかを、法律上のポイントと具体的な手続きを交え、わかりやすく解説いたします。


もし今お悩みであれば、安心して読み進めてください。

共有名義人の一人が行方不明な場合に相続手続きが停滞する理由

共有名義の不動産で共有者のうち一人が行方不明だと、相続手続きがすぐには進みません。まず、遺産分割協議は共有名義人、つまり相続人全員の同意が必要で、一人でも欠けると法的に無効になります。たとえその人の権利が小さくても無視することはできません。たとえば行方不明者を除いて他の相続人だけで協議した遺産分割協議書は、登記や預貯金の手続きで効力を認められません。


加えて、行方不明者がいることで具体的な問題が生じます。たとえば相続登記ができず、名義変更ができないことから、不動産の活用や売却ができないばかりか、銀行預金の解約や相続税の申告にも支障をきたします。こうした手続きが滞ると、相続人自身の生活にも影響が広がります。

こうした状況に直面した方は、「どうやって手続きを進めればいいのか」「早く解決できる方法はないか」といった現実的な悩みを抱えがちです。


たとえば、すぐに共有不動産を売りたい・相続登記を終えたい・相続税申告に間に合わせたいという切実なニーズがあるでしょう。そのため、滞る手続きを前に進めるための制度や具体的なステップを知りたい――そんな悩みが、早期の解決を望む動機になります。

ポイント課題の内容影響
全員同意の必要性行方不明者を除いた協議は無効遺産分割協議・登記が進まない
不動産処分の停滞相続登記ができず処分不可資産活用が止まる
相続税手続きの延滞申告期限との関係で支障ペナルティや利害の増大


不在者財産管理人制度を利用して相続登記を進める方法

共有名義の一人が行方不明となると、遺産分割協議を進めることが困難になります。しかし、そのような場合でも「不在者財産管理人制度」を活用すれば、相続登記を前に進めることが可能です。以下に制度の概要、申立手続き・必要書類・費用、そして選任後の手順をリズミカルに整理します。

項目内容
制度概要不在者の利益を代表し、財産管理や遺産分割協議に参加できる制度
申立先・申立人不在者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、利害関係人(他の相続人など)が申し立て
主な費用収入印紙800円、郵便切手数千円、予納金は数十万円〜100万円程度


まず、不在者財産管理人とは、行方が分からない共有名義人に代わって財産を守り、遺産分割協議に法的に参加できる人物を指します。この制度を使えば、行方不明者がいても登記手続きを進められる道が開けます(要件や制度趣旨)。

次に、選任の申立ては、不在者の「最後の住所地」の家庭裁判所に、利害関係人(通常は他の相続人)が提出します。必要書類には、不在者・申立人の戸籍謄本や附票、不在の事実を示す資料、不動産登記事項証明書などが含まれます。収入印紙800円と郵便切手に加え、予納金が数十万円から数百万円必要になるケースもあります。


そして、申立てから選任審判までの期間は通常1〜3か月程度です。選任後、不在者財産管理人は家庭裁判所へ財産目録の提出や定期報告を行いながら、保存行為や管理行為を単独で行えます。ただし、遺産分割協議参加や不動産の処分などの処分行為には、裁判所の許可が必要です。

まとめますと、不在者財産管理人制度は、共有名義の一人が行方不明でも相続登記を進行できる強力な手段です。申立にあたっての書類や費用、報告義務や権限制限など、ひとつひとつ丁寧に対処することで、相続登記を滞りなく進められます。


失踪宣告によって行方不明の共有名義人を相続手続き上「死亡」とみなす方法

共有名義の一人が行方不明になった場合、そのままでは遺産分割協議が成立せず、相続登記も進行しません。そこで検討すべき選択肢の一つが「失踪宣告」です。

まず、失踪宣告には「普通失踪」と「特別失踪(危難失踪)」の二種類があり、それぞれ適用条件が異なります。普通失踪は行方不明となって7年生死不明が続いた場合に適用され、特別失踪は戦争や災害など「死亡の危険が高い危難」に遭遇した後、危難が去ってから1年生死不明である場合に適用されます。


死亡とみなされる時点にも違いがあり、普通失踪は7年経過時点、特別失踪は危難が去った時点で“死亡したものとみなされる”点に注意が必要です。ですので相続の発生が「いつとみなされるか」により、相続の構造が変わってくるわけです。 décès(死亡)とみなすタイミングが異なるため、あとで“数次相続”や“代襲相続”が発生する可能性もあります。


失踪宣告が認められると、行方不明者は法律上死亡したと扱われるため、遺産分割協議は行方不明者を相続人として扱わず残りの相続人で進めることが可能になります。このとき、行方不明者の配偶者や子などが相続人として加わるケースもあり、遺産分割に関わる当事者が増える点にも注意が必要です。

項目普通失踪特別失踪(危難失踪)
要件生死不明が7年続くこと危難が去ってから1年生死不明
死亡とみなされる時期行方不明となって7年経過した日危難が去った日
相続の影響数次相続や代襲相続の可能性相続開始日が危難が去った日にさかのぼる


手続きを進めるためには、まず家庭裁判所への申し立てが必要です。必要書類には申立書、行方不明者の戸籍謄本・附票、失踪を証明する資料、申立人と行方不明者の関係を示す書類などが含まれます。裁判所は調査官による調査および官報や掲示による催告を行い、普通失踪では3か月以上、特別失踪では1か月以上の期間を定めて届け出を促します。届出がなければ、失踪宣告が確定します。


そして、失踪宣告が確定した後は、市区町村役場へ「失踪届」を提出し、戸籍への記載が行われます。この手続きによって、はじめて行方不明者が法律上「死亡したもの」として扱われ、相続登記に向けた手続きが進行可能になります。

なお、失踪宣告によって行方不明者が“死亡した”とみなされた後、もし実際は生存が判明した場合でも、利害関係人や本人の請求により失踪宣告の取り消しが可能です。


ただし、相続や不動産の売却などが既に進んでいたとしても、取引自体は原則として有効となりますので、状況に応じて慎重に対応することが大切です。

法定相続分による相続登記と新制度(所在等不明共有者の持分取得制度)の違い

法定相続分にしたがって共有名義での相続登記が可能な場合があります。たとえば、法定相続分の通りに登記するだけなら「保存行為」とされ、一人の相続人が代表して申請できるのです。そのため、行方不明の共有名義人がいても相続登記自体は可能です。ただし、この方法では不動産の売却や処分は行えず、問題の先送りになりがちです。


制度名説明注意点
法定相続分での共有登記共有状態のまま法定分割で登記する方法。保存行為に限り可能。将来的に処分しづらい。
所在等不明共有者の持分取得制度所在不明共有者の持分を裁判所に申立てて取得できる制度(令和5年4月施行)。公告や供託などの条件あり。処分もしやすくなる。
譲渡権限付与制度所在不明者以外の共有者の持分を第三者へ譲渡可能となる権限を取得。共有者全員による譲渡実行が必要。期限あり。

令和5年4月から施行された新制度では、所在等が不明な共有者の持分について、地方裁判所に申し立てることで、その持分を他の共有者が取得できるようになりました。この持分取得制度は、公告を行い、異議がなければ、時価相当額を供託して取得できます。また、譲渡権限付与制度では、裁判所の決定を受けたうえで、第三者への譲渡が可能になり、不動産全体を処理しやすくなります。


比較すると、法定相続分による共有登記は簡易で手間が少ないですが、処分能力が制限される点があります。新制度は時間や手続きが増える一方、実際に不動産を処分・活用しやすくなるというメリットがあります。ご自身の状況やご希望に応じて、どちらの制度が適しているか検討いただくとよいでしょう。


まとめ

共有名義人の一人が行方不明となった場合には、相続手続きが停滞してしまう原因やその現実的な対処法について解説しました。不在者財産管理人や失踪宣告といった手続き、そして法定相続分通りの登記や新制度の利用まで、状況に応じた方法があります。どの選択肢にも特徴や注意点があり、手続きによって相続の進行や権利関係が変わるため、状況を正確に見極めることが大切です。


今後の手続きに備え、早めに専門家へ相談することで、円滑な相続を目指すことができます。

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