
長屋売却の注意点は何?トラブル回避と高値で売る工夫も紹介
長屋や連棟式住宅を売却しようと考えたとき、「普通の一戸建て」と同じ感覚で進めてしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。壁や屋根の共有、複雑な権利関係、築年数が進んだ物件特有の課題など、注意しておきたい点が多く存在します。この記事では、長屋売却における主なリスクや注意点、さらに問題を未然に防ぐ準備のコツまで、分かりやすく解説します。「より高く、より安心して売りたい」という方必見の内容です。

ぜひ最後までお読みください。
長屋(連棟式住宅)の売却に潜む主な注意点とトラブル
長屋(連棟式住宅)の売却には、構造的・法的・金融的な制約が絡み合って、一般の戸建住宅よりも難しさが増します。まず、長屋は複数の住戸が壁や屋根などを共有し、水平方向に連続して建てられているのが特徴です。この構造ゆえに、一戸だけを切り離して再建築するのが難しく、接道義務を満たさないケースも少なくありません。そしてこうした物件は「再建築不可」となり、資産価値が大きく低下することがあります。実際に、価値が30~60%下落する例も報告されています。
| 課題 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 構造的制約 | 耐力壁や屋根の共有による切り離し困難 | 再建築不可・売却価格下落 |
| 築年数・旧耐震 | 昭和期築・既存不適格建築物が多い | 瑕疵リスク・修繕費用の増加 |
| 融資困難 | 担保評価が低く金融機関が融資を敬遠 | 売却可能な買主が現金購入者に限定される |

構造面では、長屋は全体として接道義務を満たしていても、特定住戸を切り離すとその住戸だけが道路に接しなくなる場合があり、法的に新築や建て替えが認められないことがあります。また、築年数が古い長屋は現行の耐震基準を満たさず、経年による劣化も顕著です。そのため雨漏りやシロアリ被害などの物理的瑕疵にも注意が必要です。これらは修繕費の増加を招くだけでなく、売却後のトラブルの原因にもなります。
さらに金融面では、長屋は担保評価が低いため住宅ローンが通りにくく、購入希望者が現金購入に限られがちです。その結果、市場での売却相場は一般的な戸建よりも低くなる傾向があります。

長屋売却の際に避けたいトラブルの典型的パターン
長屋(連棟式住宅)の売却にあたって、避けたい代表的なトラブルには以下のような構造的背景が関係しています。
| トラブルの型 | 発生原因 | 具体的影響 |
|---|---|---|
| 隣家との同意取得が困難 | 共有壁・屋根の構造上の結合 | 解体や切り離し、建替えが進まず売却不能になる |
| 共有部分に瑕疵がある | 責任範囲や費用負担の分担が明確でない | 売買後に雨漏り・シロアリなどの責任争い発生 |
| 共有所有者間の意思決定停滞 | 相続や共有化による所有者の増加 | 売却の合意を得られず手続きが進まない |
まず、長屋の切り離しや解体には、隣家との協議と同意が不可欠です。壁や構造を共有するため、一方的に動かすことは技術的にも法的にも困難であり、同意が得られなければ再建築や売却自体が難しくなります。実務上も、多くの相談がこうした合意形成の段階で頓挫しているのが現状です(例:隣家との合意が不可欠とする実践的注意点)。

次に、共有壁や構造部分に瑕疵がある場合です。雨漏りや白アリなど、共有に起因する問題の修繕責任や費用負担が不透明なケースでは、売買後に瑕疵をめぐる争いに発展し、とくに瑕疵担保責任に関してトラブルが起こりやすくなります。
さらに、相続や所有者が複数存在する状況では、全員の意思をまとめることが難しく、売却の進行が著しく遅れるか、最悪の場合、物件が“塩漬け”になるリスクもあります。共有者の急増は意思決定の停滞を招き、売却活動の大きな妨げとなります。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、隣家との早期協議、瑕疵の有無確認と責任範囲の明確化、共有者間での合意形成の準備が不可欠です。当社ではこうしたリスクを事前に把握・整理し、売却活動を円滑に進める体制を整えておりますので、ご相談いただければ丁寧にサポートいたします。

トラブルを未然に防ぎ、価値を維持するための準備ポイント
長屋(連棟式住宅)の売却に際し、後のトラブルを防ぎ、高く売るためには、まず法律や現況を正確に把握することが肝要です。以下の3つのポイントを意識されるとよいでしょう。
| ポイント | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 法的確認(接道義務・建築基準法43条) | 敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接しているかや、建築基準法43条の「但し書き」適用可否を役所で確認します。 | 再建築不可のリスクを法的に明確にし、買主への説明責任を果たす。 |
| 測量・構造診断 | 測量によって境界・接道状況を正確に把握し、耐震性・雨漏り・シロアリの有無など構造上の瑕疵を調査します。 | 将来的な補修費用や切り離しコストの試算ができ、正当な価格交渉が可能になります。 |
| 査定・売却ルートの比較 | 複数の査定や仲介・現況買取などの売却ルートを比較し、それぞれの「実際の手取り額」を把握します。 | 売却方法ごとのメリット・デメリットを理解し、最適な選択をするため。 |
まず、建築基準法上の接道義務や43条但し書きの適用可否を、自治体の担当窓口で確認するとよいです。これにより再建築不可かどうかが明確になり、買主に対して安心感を提供できます。また、実測による測量結果と登記情報を比較して、境界トラブルを防ぎましょう。さらに、構造診断を通じて建物の状態を把握し、必要な補修費用をあらかじめ見積もっておくと、交渉時に有利です。

加えて、仲介による売却だけでなく、現況買取などのルートも視野に入れて比較検討することが重要です。仲介では通常より時間がかかるケースも多い長屋ですが、現況買取であればスピード優先で売却できる可能性があります。複数の査定額や手取り額を比較して、「価格」と「手間・期間」のバランスを踏まえた選択をおすすめします。

入札方式より高く売るための戦略的アプローチ
長屋(連棟式住宅)を入札方式に頼らず、高く、確実に売却するには、以下のような実践的かつ法規にも適った戦略が有効です。
| 戦略 | 内容 | 利点 |
|---|---|---|
| 現況買取 | 専門業者が現状のまま直接購入 | 仲介手数料不要、早期・確実な現金化 |
| 法改正の活用 | 改正された建築基準法43条許可や容積率特例の活用 | 再建築可化による査定額の上昇 |
| 隣戸との調整 | 将来の切り離しや共同建替えの同意取得 | 買手の安心感を醸成し価格向上に |
まず、現況買取という方法は、一般仲介による長期化や価格交渉を避け、専門の買取業者に直接現状のままで売却できるため、スピーディーかつ安心な現金化が可能です。仲介手数料がかからず、嫌気されがちな瑕疵や境界未確定なども契約不適合責任免責となる場合が多いため、売主にとってメリットが大きいです(仲介価格の7〜8割が目安)。

次に、2025年4月の建築基準法改正を活用することも重要です。改正により、43条但し書許可の審査基準が全国統一されたうえに、位置指定道路の幅員要件が緩和され(3.6mから3.0mへ)、容積率特例も創設されたことで、切り離しや共同建替えの許可取得が容易になりました。これにより、従来「再建築不可」と評価されていた長屋でも再建築可能と判断される事例が増え、不動産価値が向上する可能性があります。
また、将来的な建て替え期待を促すために、隣接住戸の所有者から切り離しや解体に関する了承を事前に得ておくことも効果的です。買手に安心感を与えることで、入札方式では難しかった高額提示を引き出しやすくなります。フィリアコーポレーションでも、隣戸了承を得た案件は高査定につながるとされています。

まとめ
長屋や連棟式住宅の売却には、独特の法的制約や構造に伴う注意点、またトラブルが潜んでいることを理解することが非常に重要です。隣家との共有部分や再建築の難しさ、旧耐震基準を満たさない建物である場合のリスクなど、売却を進める上で事前の情報整理と適切な準備が不可欠です。

さらに、現状の物件調査や法改正の動向を踏まえた売却戦略を採ることで、入札方式よりも高く、かつスムーズに手続きを進める道も開けます。疑問点や不安がある場合は、ぜひ私たち専門会社が親身にご相談に乗りますので、お気軽にお問い合わせください。
