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空き家を長期間放置したままだと売る時に不利?高く売るための準備と注意点を紹介

不動産情報・知識・アドバイス

松本 親幸

筆者 松本 親幸

不動産キャリア27年

㈱フォローウィンドコーポレーションの
別称:大阪空き家・長屋買取センターです!

個人的には今までの不動産業経歴において
1500件超のお取引に関わっております。

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若い時にはリフォームの仕事も経験済。
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空き家となってから三十年間、手をつけずに放置されたご自宅を「少しでも高く売りたい」と考えたことはありませんか。実は、長期間放置された空き家には特有の課題が数多く存在します。劣化や登記、税金など、思わぬ落とし穴も潜んでいます。本記事では、ご自身では見落としがちな準備や売却時の注意点から、手続きや税制特例まで、分かりやすく解説します。売却を迷われている方は、ぜひ最後までご一読ください。


現状把握と売却の前提準備

空き家が長年、たとえば30年ものあいだ放置されている場合、建物は著しく劣化している可能性があります。外壁や屋根の老朽化、シロアリ被害、雨漏りなどが進行していることもあり得ます。また、法的には「特定空き家」とされ、市町村から除却や修繕の指導を受けるおそれもありますので注意が必要です。


まずは相続登記の有無を確認し、所有者の名義が適切かどうかを整理しましょう。土地の境界が不明確な場合は測量を行い、建物と土地の現況をきちんと把握することが大切です。これらの確認は、売却を進める上で欠かせない前提となります。


さらに、売却目的によっては「建物をそのまま売る」「解体して更地として売る」のどちらが適しているか判断する必要があります。建物の状態によっては解体の費用対効果を検討のうえ、有効な判断をすることが求められます。また、更地にすると固定資産税の軽減措置が失われ税負担が大きくなる場合もあるため、慎重に見極めましょう。

準備項目 内容 目的
建物・土地の状態確認 劣化状況、測量、境界の確認 物件の正確な現況把握
登記名義の確認 相続登記の有無確認 売却手続きの円滑化
売却方法の検討 建物売却か解体後の土地売却か 税負担や費用との比較検討


売却方法の選択肢とそれぞれのメリット・注意点

空き家を売却する際の選択肢には大きく分けて「仲介」「買取」「自治体が運営する空き家バンク」があります。それぞれの特徴と注意すべき点を以下の表にまとめました。

方法主なメリット主な注意点
仲介市場価格に近い高値での売却が期待できる売れにくい場合、時間がかかる。仲介手数料が必要
買取迅速に売却でき、手間が少ない売却価格は市場価格より通常低め
自治体バンク仲介手数料不要、手数料が抑えられる個人間の手続き負担がある、買い手が見つかりにくいことも

「仲介」では不動産会社に買い手を探してもらえ、高値での売却が期待できますが、売却に時間がかかることや仲介手数料が発生します 。「買取」は買取業者が直接購入するため、早く現金化できるうえ、仲介手数料が不要な点がメリットですが、市場価格より低い金額になる傾向があります 。「自治体バンク」は仲介手数料がかからず掲載も無料で済むケースが多いですが、個人間で手続きを行う必要があり、売却までに時間や手間がかかることがあります 。

古く長期間放置された空き家の場合、更地化(建物を解体して土地だけとして売却すること)も検討に値します。建物がボロボロで買い手が付きにくいケースでは、更地にすることで買い手の選択肢が広がり、比較的早く売却できる可能性があります 。


ただし、更地化には解体費用がかかり、固定資産税が上昇するリスクも伴います。例えば木造建物の解体では1坪あたり約2万~6万円の費用となり、物件の大きさによっては数十万円から数百万円の費用がかかることがあります 。また、更地になると固定資産税の軽減措置が受けられず、税負担が一気に重くなることもあるため注意が必要です 。

さらに、長期間放置された空き家は「再建築不可」の可能性や、道路に接道していないなどの法令上の制限があることもあります。こうした制約があると、買い手が見つかりにくく、価格が下落する要因となるため、事前に確認しておくことが重要です 。


税金・費用と特例の活用ポイント

空き家を売る際に必要となる主な費用には、相続登記費用、仲介手数料、解体費用、印紙税などがあります。相続登記には司法書士報酬や登録免許税がかかる場合があります。仲介手数料は、売却価格に応じた料率で計算され、解体費用は築年数が古いほど高額になることがあり、事前に複数業者から見積りを取っておくことが大切です。また、売買契約書などへの貼付に必要な印紙税も見落とせないコストです。

項目内容注意点
相続登記費用登録免許税・司法書士報酬名義変更のため必須
仲介手数料売却価格に応じた報酬契約前に料率確認を
解体費用建物取り壊し費用築年数で変動あり

譲渡所得税には、長期譲渡所得と短期譲渡所得で税率が異なり、所有期間が売却年の1月1日時点で5年を超える場合は「長期譲渡所得」として課税されます。その場合、所得税15%・住民税5%に加えて復興特別所得税がかかります。短期譲渡所得(所有期間5年以下)の場合は、所得税30%・住民税9%となり、税負担が高くなります。譲渡所得の課税額は「譲渡価格から取得費・譲渡費用を差し引いた額」に特別控除を適用して計算されます。国税庁が示す計算式に基づいて、正確に把握することが重要です。長期譲渡所得の税率や計算方法は国税庁でも公開されています。


さらに、相続で取得した空き家を売却する場合、「被相続人居住用空き家にかかる譲渡所得の特別控除(いわゆる空き家特例)」を活用できる可能性があります。この特例では、譲渡所得から最高3,000万円が控除されます。ただし以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること(現行制度では令和9年まで延長されています)
  • 昭和56年5月31日以前に建築された被相続人居住用の家屋であること
  • 相続から売却まで事業・貸付・居住の用に供されていないこと
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続した土地と建物を同一の相続人が取得していること

令和6年以後の売却では、買主が売却後に耐震改修や解体を行う場合でも特例が適用可能になり、特例の利用がより柔軟になっています(譲渡後翌年2月15日までに工事を完了させればよい)。該当する場合には確定申告時に必要な書類を整えて申請することが重要です。


準備から売却までの流れと効率化のポイント

空き家(30年放置)の売却を円滑に進めるには、流れを整理し、効率的な対応が鍵となります。まずは、以下の表で全体の流れを把握しましょう。

ステップ概要ポイント
相談・査定不動産会社に相談し、机上査定・訪問査定を受ける早めの相談でリスク軽減、訪問査定で精度向上
媒介契約~売出し媒介契約後、売却活動を開始販売価格の見直し・条件を柔軟に
売買契約~引き渡し価格交渉・契約締結・引き渡し・登記書類や手続きに余裕を持たせる

具体的には、まず不動産会社に売却の相談をして、机上査定や訪問査定を受けます。訪問査定は精度が高いため、劣化や周辺環境を確認したうえで依頼すると良いでしょう。査定結果をもとに媒介契約を結び、売却活動を開始します。

空き家のように長期間放置された物件には、税金負担や放火、不法占拠などのリスクがあります。これらを回避するためにも、売却開始をできるだけ早くすることが重要です。また、「特定空家」に指定されると固定資産税の優遇が受けられなくなり、税負担が増す懸念もあります。


売却までの期間短縮に向けては、以下の対応がおすすめです:早期に相談して査定を受ける、必要書類を整えて媒介契約を素早く結ぶ、物件の状態を整理し(清掃や写真撮影など)、内覧対応の負担を軽減すること、そして可能であれば解体や特例の適用も検討することです。これによりコストや税負担、さらには期間を抑えた売却が可能になります。


まとめ

空き家を三十年間放置した場合、建物や土地の状態が悪化しやすく、売却にあたっては現状を正確に把握することが大切です。相続登記や名義の確認、建物の劣化状況や敷地の境界など、必要な準備を怠るとトラブルが発生しやすくなります。また、売却方法ごとにメリットや留意点があるため、ご自身の目的や条件をもとに最適な方法を選ぶことが重要です。


さらに、各種費用や税制特例を活用し、計画的に手続きを進めることで、不必要な負担を減らすことができます。空き家の売却は早めのご相談と行動が成功への近道となりますので、ぜひ安心して第一歩を踏み出してください。

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