
空き家の相続後売れない場合の対策は?管理や負担を減らす工夫も紹介
相続によって空き家を手に入れたものの、なかなか売れないと悩んでいませんか。査定で「売れにくい」と言われ、管理や費用の負担が増えるばかりで将来が心配になる方も多いはずです。本記事では、売れない空き家の実態や原因を整理し、現実的な対策や他に選べる方法まで分かりやすく解説します。「売れない」と感じたとき、どう動くべきか、具体的なヒントをお伝えします。

売れない空き家の現状と影響
まず、相続して手に入れた空き家について「なかなか売れない」と感じている方は非常に多く、あるアンケート調査ではその割合が44.4%に上ることが確認されています。これは、空き家を相続した人の多くが売却に苦戦している現状を如実に示しています。
| 項目 | 割合・状況 | 内容 |
|---|---|---|
| 売れない空き家 | 約44% | 相続した空き家が売れず困っている人の割合 |
| 全国の空き家数 | 約900万戸 | 1993年からほぼ2倍に増加 |
| 放置空き家 | 約386万戸 | 賃貸や別荘、売却予定なしの状態 |

次に、全国の空き家数についてですが、最新の統計では1993年の約447万戸から2023年には約900万戸にまで増加し、この30年でほぼ倍増しています。その結果、空き家率は13.8%と過去最高水準となっています。有効活用の予定がない「放置空き家」も増えており、およそ386万戸に達していることから、管理や処分に困る実情が浮かび上がります。
さらに、相続した空き家を放置したままにしておくと、固定資産税や維持管理費などの金銭的負担が徐々に膨らみます。特に「特定空き家」と認定されると、宅地にかかる税の特例(小規模住宅用地の特例)が適用されず、税額が6倍になるケースもあり、長期間放置する悪循環のリスクが大きくなります。

売れない理由を具体的に整理する
相続した空き家が思うように売れない要因には、大きく三つの観点が考えられます。
| 理由 | 内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 価格設定が高すぎる | 相場と比較して割高で買い手の関心を得られない場合があります | 近隣事例を参考に適正価格を見直す |
| 物理的・法的制約 | 再建築不可や境界未確定など、法令上の制約により利用や建て替えが難しい場合があります | 再建築可否や境界確定状況を専門家に相談して確認 |
| 手続き上の問題 | 相続登記の未了や複数名義(共有)のままでは売却自体が進められません | 相続登記の完了と共有者全員の同意を得る準備を行う |
まず、売り出し価格が近隣の取引事例に比べて高すぎると、買い手に「割高」と判断される可能性があります。買い手の視点に立ち、現実的な金額に見直すことが必要です。特に、物件固有の魅力が乏しい場合には相場以下に設定しても売却につながることもあります。

次に、物理的・法的な制約です。たとえば、建物が建築基準法上の道路に2メートル以上接しておらず「再建築不可」とされる場合、建て替えや賃貸利用が困難になり買い手が敬遠されます。このようなケースでは、専門家に相談し、再建築可能となる接道条件の整備や境界確定の確認などの対応が重要です。また、境界が未確定であると、土地の売買にリスクを感じる買い手も多いため、測量や境界の確定を進めておくことが望まれます。
さらに、手続き上の問題も無視できません。相続登記が未了である場合、法令により2024年4月1日から義務化されており、相続を知ってから3年以内に登記をしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。加えて、複数名義で共有されていると、売却にあたり全員の同意が必要で、意思決定が遅れるケースもあります。こうした状況を避けるためには、なるべく早く名義変更の準備を進め、共有者間の調整や専門家によるサポートを得ることが重要です。

まず試せる現実的な対策
相続した空き家がなかなか売れない場合でも、すぐに取り組める現実的な対策があります。以下の内容を参考に、状況に応じた工夫を行ってみてください。
| 項目 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 価格の見直し | 売り出し価格を相場より約2割下げて設定する | 買い手の関心を引きやすくなる |
| 簡易整備 | 不要な荷物の撤去や通路の掃除など、見た目の印象改善 | 第一印象が良くなり、内覧時の反応が改善 |
| 地元への声かけ | 近隣の方に売却希望を伝えたり、紹介をお願いしたりする | 思わぬ買い手につながる可能性 |

まず一つ目の対策として、売り出し価格を見直すことが有効です。多くの場合、買い手が現れにくい最大の理由は価格が相場より高すぎることにあります。そのため、相場価格を基に約2割程度下げて価格設定することで、買い手の目に留まりやすくなります。
二つ目は、リフォームではなく簡易的な清掃や整備に限定して実施する方法です。室内に荷物が残っていると印象が悪くなるため、不要な物品の撤去や入り口周辺の清掃を行うだけでも、内覧者にとっての印象が劇的に改善します。
三つ目は、地元の方へ直接働きかけるアプローチです。不動産会社の媒介を使わずとも、近隣の方に声をかけることで、思わぬ買い手や紹介につながることがあります。このようなローカルな口コミは、売却機会を広げる手段の一つとしてぜひ検討してください。

他の選択肢として検討できる手段
相続した空き家がなかなか売れない場合、売却以外にも数多くの法的・制度的な選択肢が存在します。それぞれの特徴や注意点を整理してご紹介いたします。
| 選択肢 | 概要 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 相続開始から3か月以内に家庭裁判所へ申立てを行い、不動産を含めた一切の財産を相続しない手続きです | 相続放棄すると、預貯金や他の資産もすべて放棄する必要がある点にご注意ください |
| 相続土地国庫帰属制度 | 不要な土地だけを国へ引き渡すことができる新しい制度で、空き家を解体して更地にする必要があります | 申請には審査手数料および負担金(例:宅地では原則20万円)が必要で、制度の対象外となる土地もあります |
| 自治体や団体への寄付・買取依頼 | 売却せずに公平性のある方法として、自治体への寄付や買い取りを検討する手法があります | ほとんどの自治体では、収益目的以外の空き家の寄付・買い取りには応じていないケースが多いです |

まず相続放棄は、相続開始から3か月以内の申立てで、不動産を含むすべての遺産の相続権を放棄できます。ただし、預貯金や他の資産もすべて相続しないことになりますので慎重な判断が必要です 。
次に相続土地国庫帰属制度は、不要な土地のみを国に引き渡すことが可能な制度です。例えば、市街地にある宅地なども対象となる場合がありますが、空き家がある場合は解体が必須です。また、申請の際には審査手数料(例:1筆あたり14,000円)および負担金(宅地では原則20万円)がかかります 。ただし、樹木や擁壁など災害リスクが高い土地、境界未確定、違法増築などの複雑な権利関係がある土地は制度の対象外となる可能性もあります 。

さらに自治体や団体への寄付・買い取りも選択肢の一つです。自治体が地域の活用を目的とする場合に限り、空き家の寄付や買い取りを受け付けるケースもありますが、基本的には自治体側は収入減となるため、一般的な寄付や買い取りには対応していない場合が多いです 。
どの選択肢にもメリットとデメリットが存在しますが、いずれにせよ負動産(資産価値が低下し、管理負担の増大した不動産)にならないうちに、早めに判断し行動することが重要です。不要な負担を将来の世代に残さないためにも、まずはご自身に適した方法をよくご検討ください。

まとめ
相続した空き家がなかなか売れずに悩む方は少なくありません。売れない理由を整理し、適切な価格設定や最低限の清掃、近隣への声かけなど、現実的な対策を実践すれば状況改善が期待できます。放置による金銭的負担や劣化リスクを考えると、早めの行動が大切です。売却以外の手段も含め、ご自身に合った方法を見極めましょう。どなたでも気軽にご相談いただけますので、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。

